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Dancing for the Dreams

maki0602.exblog.jp
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2014年 05月 13日

そして、今


パースの秋
あの夏の日がまるで嘘のように 青空は姿を隠し、
グンと気温が下がった
シャワーのような大雨が、日に何度もやって来るかと思えば
突然青空が広がったりする目まぐるしいお天気
洗濯物が乾かないことに
少しだけ憂鬱になったりする穏やかな毎日   


この今という時を
何となくシュミレーションしてきたけれど
終わってすごくほっとしてるとか、気が抜けてしまったとか
予想外にそんな感じは全然なくて
何だか意外だった  


舞台を追えて向かったバリ島
そこでとにかくゆっくりと振り返ろうと思っていたのだけど
実際は何も考えられなくて
意識して考え始めても、気がついたらふわっとしてる
きらきら光る水面や、椰子の木や、青い空をただぼんやりと見つめて過ぎてゆく時間
湿気を多く含んだ温かい風を全身で感じて、波の音に耳を澄まして
ただそこにいるだけ
お腹がすいて現実に引き戻される、みたいな  
そんなことならまあいっかと思って
心ゆくまでぼんやりと過ごしたバリ滞在だった
ただ離陸した飛行機が
機体を傾けて旋回し、そしてぐんぐんと高度を上げて行ったとき
どこまでも海のような、どこまでも空のような水色に
白い雲か、それとも流氷かという白が遠くに見えて
視界の全てが白と水色に包まれた
それは不思議に圧倒的で、きよらかな感じがして
その時何となく、でもはっきりと粕谷先生もパパも近くに居る気がして
だから一人、そっと笑った
 

そうして舞い戻って来た日常
当然のごとく何ら変わらずそこにあって
生きる為に必要なことを淡々と規則正しくこなして過ごすうちに
やっといろいろを振り返る気持ちになって来た  
水戸バレエ研究所の舞台と同窓会が無事に終わって
もうすぐ1ヶ月が経ってしまうけれど


育ててもらった場所が、今も尚そこにあり続けていること
何よりも、恩師粕谷先生がみんなの心に生き続けていること
それを体感したことは感動であり、深い感謝だった
変わってゆく世の中で、しかし変わらずに確かに生き続けているものは
とても優しくて、とても温かくて
粕谷先生もきっと、満面の笑みだったに違いない
みんながそれぞれの人生で
きらきらと輝いていけますように、と切に願う


そして恩師不在の13年
水戸バレエ研究所を守り続けて来た川島先生
また縁の下の力持ちとして、
水戸バレエと川島先生を変わらずに支え続けてきた久子先生に
ありったけの労いとありがとうを
”お帰り” と言ってくれる人が居たから
迎え入れてくれる場所があったから
自分は安心して世界を自由に飛び回ってこれたこと
改めて、深く深く感謝する  


そして踊る、ということー 
舞台の出来は想定内
もっと出来たはずの色々は、たくさん
満足なんてほど遠い、そんなことは到底無理なことだけど
うまく行かなかった色々に落胆しているというよりも
むしろ納得している自分がいて
そんな今までにない感じに、正直驚いていた
自分の力量と経験、そして変えることの出来ない環境の条件
いい訳なしにベストを尽くしてゆくということの難しさを改めて
しかし今回の舞台の何よりは、沢山の方に喜んで頂けたこと
どんなに海外で頑張っても、生の舞台を観てもらえることが稀だった分
それは自分なりの結果云々という所を超えて
純粋に嬉しいことだった


久しぶりの舞台は、一体どんな感じなのかと思っていたけれど
立ってみればしっくり来る場所と言うか
ずっとそこに居たみたいな、いつもの感じだった、な
毎年の一大イベントだった発表会
4歳で水戸バレエ研究所の門をくぐってから18歳まで
毎年色んな気持ちで立った文化センターの舞台
すべては、そこから始まっていったんだね
プロになって、どんどん重くなってゆくプレッシャーと戦いながら
逃げ出したい気持ちと、自分を信じようとする葛藤の中で努めて来た舞台
でも、無事に踊り切った時の
大きな拍手に包まれるカーテンコールは最高だった
風呂上がりのビールの、何万倍もすごい
バルコニーのてっぺんまで、すべてのお客様を見渡しながら何度も何度もするお辞儀
あれ以上の感動の瞬間なんてあるんだろうか
自分にとって、それは生きることの意味に他ならなくて
全てが始まった始まりの場所で
日本を飛び立って、世界で踊り続けた18年間を思い返すのは
正直、感慨深いものだった
もしかしたら苦しかったことの方が断然多いかもしれないけれど
でも格別な人生だったことは間違いない


FNBを休職して10ヶ月
踊りで生きて来た毎日は、つい昨日のことのよう
この休職中に改めて立った舞台に違和感こそなかったけれど
以前と少しだけ、でも決定的に違う何かがそこにあって
その正直な気持ちと、複雑に絡み合ういろんな念いとが
自分の中でちゃんとバランスを取っていけるように
これからそこにゆっくりと向かい合っていこうと思う  


休職の際計画していた色々は、これでひとまず終了
そして2015年7月まで
もう1年休職の延長希望が受理された  
粕谷先生は、何て言うんだろう


これからが本当の意味での、はじまりになる

  
 




そして、今_a0155144_18081900.jpg


by makinakagawa | 2014-05-13 21:14 |


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